「自然世界の高分子」は,広く物理,化学,生物系
の大学生を対象として,高分子とは何であり,なぜ
面白いかを図を交えて解説している。
 この本はもとは英語で書かれ,"Giant Molecules
- Here, There, and Everywhere (2nd Edition.)"
の日本語版への翻訳である。

 はじめに de Jennes(高分子,ノーベル賞受賞)
が,高分子の歴史とその有用さに触れている。
続いて著者が,身の周りの現象でなぜ高分子が
非常に面白く,それには何を知るべきなのか,を
格調高い文章で解説する(1冊の本として楽しい
書物であり,日本語版を読むと勉強になる)。
 この本質はこの本書において貫かれており,
最高峰の取り組みである生命の起源についても
同じである。

 「ゲルそしてスマートゲル」(第12章)は,この
日本語版のために著者が"書き下ろし"たもの
であり,ゲルの話が展開される。
 なお,巻頭にはカラー図が3葉添えてあり,
その説明が図に添えられている (DNAや溶媒中
で形成する種々の構造
は,それぞれ各章の解説
を参照してほしい)。


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「自然世界への高分子」 グロスバーグ,ホホロフ著
"Giant Molecules" (2nd ed.)
田中基彦,鴇田昌之 監訳 (吉岡書店)
目次
●巨大な分子の世界の物理学
●高分子はどのように見える?
●高分子はどのように作られる?
●多様な高分子物質
●自然界の高分子
●単純な高分子鎖の数学
●高弾性の物理学
●排除体積の問題
●コイルとグロビュール
●球状タンパク質とフォールディング
●結ぶか結ばざるか
●ゲルそしてスマートゲル
●高分子液体のダイナミクス
●フラクタル
●高分子,進化そして生命の起源

カラー図(巻頭)
図2.4 "DNA二重らせんの空間構造。
 炭素(C),酸素(O),リン(P),窒素(N)
 など異なる原子種は..."
図5.2
 "両親媒性物質が溶媒中で
  形成する種々の構造"
図10.3 "活性サイトをもった格子状
  のグロビュール"