X点で起きていること?

実際には何が起きているのか?
X点付近に溜まったプラズマ電流は、電子により運ばれ電子運動とともに
そこから運び去られます。ここでよく考えてほしいのは、もともと電気抵抗は
「X点に溜まる(誘起される)電流を消失させるエージェント」(電流が溜まると、
そこで磁場が強まり、磁気圧の斥力で融合ができない)として 仮に
導入された
ものです。 ですから電流を消失させる機構があれば、電気抵抗
は必要ないのです。

 これが、私が開発して、この研究に使用したマクロ粒子コードのシミュレー
ションが教える結果です。


歴史は繰り返す?

公正さのため、先駆的理論に言及しましょう。実は、電子が関与した電気抵抗
まがいの無散逸過程は1970年前に、T. Speicerが考えていました。ところが、
彼の議論は多くの仮定の上にたっており、かのアルヴェンの反対もあり葬られ
忘れ去られました。代わりに脚光を浴びたのが、核融合プラズマから派生した
「プラズマの波動不安定性に基づく」異常電気抵抗でした。 私がLHD (Lower-
Hybrid-Drift)波動不安定性と電気抵抗の起源を研究した1970年代後半は
そういう時代です。

 その約10年後、みずから開発したマクロ粒子コードを用いて、磁気リコネクション
の基礎部分の起源を解明(実証)したことになります。他方で、エネルギー変換
過程など現実を説明する研究は進歩が遅く、いまの2009年時点でもこれからの
課題であるようです。


参考論文:

無散逸 磁気リコネクションの最初の証明
... Phys.Plasmas 2, 2920 (1995).


無衝突過程における電子とプロトンの役割.
... Phys.Plasmas, 3, 4010 (1996).



前ページへ プラズマ・凝縮系へ戻る   日本語ホームに戻る



「無散逸」磁気リコネクション:
電気抵抗の起源

(続き)